価格戦略
■価格とは何か
自社が取り扱うモノ・サービスの価値を決めるもの。さらに、企業そのもののレベル・価値を、潜在客に対してイメージを与える。100円の商品を扱う企業と100万円の商品を扱う企業とでは、自然と潜在客(その企業のことをよく知らない客)は企業に対して持つイメージが決まってくる。
ただし、目標としている数値を達成できるかどうか、つまりそのモノ・サービスが売れるか売れないか、と潜在客が持つ企業イメージとは因果関係にない。重要なのは、潜在客が持つイメージと商品、価格や販促方法などが一致していないと、売り上げにつながらないことがある。100円均一の会社が100万円のバッグを販売したとしたら、果たしてどれほど売れるだろう。
少なくとも、ブランド名を変えるか、販促方法を変えるなど、かなりの工夫が必要になり、これまでの企業イメージを活用することは難しい。
■値下げが最良の選択か
ビジネス書にもよく記載されているが、値下げはあまり良い選択でないことが多い。しかし、すでに自社が業界においてリーディングカンパニーであるのなら、値下げは大いに有効な選択の場合がある。
リーディングカンパニーでない場合でも、ハウスリスト(新規顧客データ)を集めるために、破格の値段でたくさんの人に商品を買ってもらう(サービスを利用してもらう)ことは、とても一般的である。
ただし、仕掛けるときはタイミングと値幅が重要。誰も知らないような商品なら、安くても欲しくないし、他社と比較してそれほど安くない価格設定なら、あまり魅力的ではない。また、安くしすぎて購入前に客に不安を与えてしまっては、元も子もない。
■値上げがもたらす作用・副作用
通常、既存のモノ・サービスを単に値上げすると売れなくなる。よほど需要が強く社会的要請がある場合は別だが、最悪の場合は企業ブランドのマイナスになってしまう。
そのようにならなかったとしても、価格が大きく変わるということは、客層も変わるので、そこを踏まえたうえで価格設定の変更を行う必要がある。値上げをすると富裕層が集まる、という表面的なことではなく、考え方としては価格帯によって客層が変わるということである。
単なる値上げは、原材料費高騰などの理由を除けば、良い選択ではないことが多い。ちなみに、日常的に値下げを続けてきた商品を、急に値下げを取りやめた場合も、実質値上げと受け止められるので注意が必要。
単なる値上げではなく、付加価値のある値上げ(実質値上げが望ましい)が基本である。アメリカの場合なら、価格が下落し始めた医薬品にピルカッターをセットするドラッグストア、広告物(DM)制作にランピーグッズ(小道具)をセットし競合他社の値下げ競争に巻き込まれない、といった感じで、関連性のあるモノ・サービスを商品にセットする(コラボレーションともいえる)方法は、一番簡単な付加価値の1つである。
ほかに、これまで1種類だった商品のバリエーション(グレード)を増やして3種類にするのも簡単だ。形のある商品ならパッケージデザインを変えたり、サービスならリッツカールトン並みの演出をしたりするのも簡単だろう。
■売れる価格、売れない価格の存在
私は、これまで価格によって、同じ商品でも売れにくいことと売れやすいことがあることに気づいた。
たとえば同じ商品、同じ時期、同じ広告媒体に、違う会社名と連絡先、違う価格を掲載して集客してみたことがある。なお、このとき強力な競合他社は2社あった。A社は18,000円。B社は27,000円。
私は、20,000円で販売していたのだが、思うようには売れていなかった。友人の女性経営コンサルタントから23,000円にしたらもっと売れると思うよ、と助言を受け、テストしてみたくなったのだ。
結果は、20,000円のほうは売り上げを半分ほども下がり、23,000円のほうはこれまで20,000円で売れていた数の2倍以上売れた。
※これまでの販売個数を100とした場合
過去:
20,000円×100個=200万円 合計200万円
今回:
20,000円×50個=100万円
23,000円×200個=460万円 合計560万円
結果は大きな違いである。私は、値上げすることにした。ただし、今後は新会社のみを販促することにした。これまでの古い会社(会社名と連絡先)は、既存客からのオーダーを受けることに専念した。少しイレギュラーかも知れないが、これなら付加価値なしでも値上げできる。もちろん、成長期の商品だったからこそできた価格戦略ともいえる。
今の価格設定で本当に問題ないだろうか?めんどくさいからといって、価格が適正かどうかを見過ごしてはいないだろうか?
もちろん、むやみやたらと価格変更しては客を逃がす場合もある。さらに、現在が適正価格の場合は、無理に付加価値で価格変更しないほうが良いこともあるを忘れてはいけない。